えびっちょのお話

作家 北見すみれの作品集です

真っ白なノート

まっ白な ノートを いただいた 何を書いたら いいのだろう 小さなノート 何を書いても その中に うもれて しまいそうになる いえ うもれてなるものか・・・と 思いがわきだってくる 日々のつぶやきを 真っ白なノートに いただいたノートに 書いてゆく 大事に…

幸せ

幸せは どこからおりて くるのだろう 幸せは 心の中の あたたかい思いから めの中の 涙のしずくとなって おりてくるのでしょう 七色の 光の色に 染められて めの中の しずくとなって わいてくるのでしょう キラキラ キラキラ 七色の しずくとなって おりてく…

マリーゴールドの道

あなたと行った マリーゴールドの道 ずっと続いた マリーゴールドの道 オレンヂの花のじゅうたんの帯 やさしく 風にそよいでいたよ 車の中からのぞく マリーゴールドの道 しんけんな まなざし 車を運転する あなた 私は横で どきどきしながら 乗っていたよ …

―心の中に―

心の中に さなぎがいる 今 まさに羽化しようとしている ガサガサ ガサガサ 背がされて ちょうの羽が出る 心の中で やわらかなちょうの羽がひらく やっと 私が 生まれる 心の中のさなぎが 羽化して蝶になる やっと 私が 生まれかわれる ―心の中に―

春風ふく

春風ふく 土手に ふきのとう つんで 天ぷらにして食べたら おいしいよ 道端に 菜の花の黄色のじゅうたん つぼみをつんで おひたしにして からしみそで食べたら おいしいよ あれ あちらの土手には つくしがたくさん はかまをつむのは大変だけど フライパンで…

すみれ

道路の横 アスファルトの溝に すみれが咲いていた すみれよ すみれ 薄紫と紫の花弁をひろげ 春の風に身をつつみ 可憐に首をかしげ 咲いている すみれよ すみれ 地中に深く根をはって 地中に優雅に咲いている 路側帯に ずうっと紫の細い帯 亡くなった母が 薄…

母の姿

高校の 卒業の春 学校の帰り道 母が言った 「何事なく 卒業できて 良かった」・・・と 大学の 入学式の時 バス停の横にある 桜の木の下 薄紫の着物を着た 母が とても綺麗だった 今でも卒業の時の言葉と 入学式で母が たたずむ姿は 私の のうりに浮かんでくる

ふる里

ふる里の 私の秋は 知らない内に やってくる 気がつけば 9月 野山は 赤 黄 茶色の紅葉に染まる かえでやもみじの 小さな赤い葉に 幼き日の 赤子の笑いを 写し出す ふる里の 私の冬は 知らない内に やってくる 気がつけば 11月 空気がすんで ピーンとはり う…

満月の夜に

吾子よ おまえは言った。 「パパとママ、ケンカしたんだ。」 満月の夜 バアの私は ただ だまって聞いていた 吾子よ おまえはまだ幼い でも 幼い心で 一生けんめい 淋しさと 悲しみとにたえて 満月の夜 母子寮からの帰り タクシーの中 月に心をたくして バア…

青いりんごの青春

若かった時 楽しかったね 沢山 沢山 いろんな事したね でも いつ頃からか みんな それぞれの道 歩み出したね 時々 ふれ合う事があったけど でも いつ頃からか みんな それぞれの夢 希望をもって 進み出したね 若かった時 大学時代 私達の青春 青春時代は 青…

水辺に浮かび たわむれる

水辺に浮かび たわむれる 水鳥よ おまえの やわらかな 羽毛につつまれて 私は 静かにねむりたい 空を飛びかう 小鳥よ とまり木で 自由にさえずり うたう 鳥たちよ 私は おまえの おはらの下 タマゴになって あたたかく いつか生まれる事を 夢みて ぬくもり …